“心地よい停滞”から抜け出せ!福祉職のための変化を味方につける思考法
合同会社アンドエス代表で、放課後等デイサービス カララ、カララ寿町2事業所運営している安藤です。
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はじめに
放課後等デイサービスや福祉の現場は、子どもや利用者、保護者、そして職員同士の人間関係が密接に絡み合う、非常に繊細で責任の大きい仕事です。法律や制度の改正、新しいニーズの出現など、常に変化が起こりうる現場でもあります。
「安定した働き方がしたい」という想いは、多くの方が持っているでしょう。しかし、安定と聞くと一見ポジティブな響きがありますが、その一方で「慣れ」や「停滞」にもつながりやすい側面があります。今回は、安定を保ちつつも停滞に陥らないために、変化を恐れず行動し、どのように”対応できる体”を作っていくかを考えてみたいと思います。

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安定はなぜ停滞につながりやすいのか
1. 現状維持バイアス
人は現状を維持しようとする傾向(現状維持バイアス)があります。これは、慣れ親しんだやり方や環境のほうが安心で、未知の世界へ一歩踏み出すことに不安を感じるからです。
しかし、福祉の現場では利用者の状況やニーズが日々変化します。同じやり方が通用しなくなる場合もありますから、「安定=いつも通りのやり方」に固執してしまうと新しいニーズに対応しきれず、結果として「停滞」や「マンネリ化」を招きます。
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2. 変化に追いつけなくなるリスク
介護保険制度や障害福祉サービスなど、福祉の領域は法改正や制度変更が定期的に行われます。現行のルールに合わせたままアップデートしないと、いざ制度が変わったときに混乱したり、利用者に十分なサービスを提供できなくなったりします。「変化を前提に行動しておく」ことで、突然のルール変更やニーズの変化にも対応できる柔軟性が身につくのです。
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変化を恐れず行動するためのポイント
1. 情報収集を習慣化する
行政や業界団体が出す最新情報をチェックする
法改正やサービスの新設など、国や自治体が発表する情報をこまめに確認しましょう。定期的に公式サイトをチェックしたりすることで、重要な変更を見逃しにくくなります。
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研修や勉強会への参加
業界が主催する研修会やセミナー、学会などに積極的に参加することで、新しい情報や取り組み事例をキャッチアップできます。最新の事例を知ると、自身の仕事にも応用しやすくなります。
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2. 小さな変化を取り入れてみる
いきなり大きく働き方を変えようとしても、抵抗感が大きくなりがちです。まずは小さな取り組みから始めると、変化に対するハードルが下がります。
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日々の業務のやり方をほんの少し変えてみる
例:日誌や記録の付け方を見直す、コミュニケーション方法を1つ増やしてみる、など。
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チーム内でフィードバックを定期的に交わす
週に一度、気づいたことを共有し合う習慣を作ると、小さな改善案が生まれやすくなります。
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3. 「自分の専門性×+α」の視点を持つ
福祉の仕事に携わるうえで、専門性を高めることは大切です。しかし、そこに「+α」のスキルや視点が加わると、より柔軟な対応が可能になります。
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他職種連携への理解を深める
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、関連職種の視点や知識を学ぶことで、自分の専門分野の枠を広げられます。
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ITリテラシーや情報発信スキルを磨く
業務効率を上げたり、新しいサービスやテクノロジーを取り入れたりできれば、職場の変化に対応しやすくなります。
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4. 失敗を恐れずトライアンドエラー
新しいことにチャレンジするときは、失敗やうまくいかないことも必ず出てきます。しかし福祉の現場こそ、利用者の多様なニーズに合わせて試行錯誤することが大切です。
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「失敗は学習」だと捉える
トライアンドエラーを繰り返すなかで、正解に近づくための道筋が明確になります。
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チームでフォローし合う体制を作る
個人では対処しきれないケースも、チーム内で助け合うことで乗り越えられます。連携体制が整っている組織ほど、変化を恐れずに行動しやすいです。
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変化に強い組織づくりも大切
個人単位で変化を恐れない体質を作ることは重要ですが、同じようなマインドを持つ仲間が増え、組織として変化を後押しする雰囲気があれば、より大きな力を発揮できます。
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経営者や管理職が率先して動く
上層部から変化を推奨するメッセージや仕組みづくりがあると、職員一人ひとりが安心してチャレンジしやすくなります。
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研修機会の提供や相談しやすい体制づくり
定期的な研修や、失敗や試行錯誤を受け入れる風土を育てることで、現場の意欲が高まります。
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おわりに
安定した働き方を求めるのは、とても自然なことです。しかし、「安定=ずっと同じやり方」としてしまうと、放課後等デイサービスや福祉の現場では新しいニーズや制度変更に対応しきれず、結果として提供できるサービスの質が下がってしまう危険があります。
だからこそ、日々の業務で小さな変化を取り入れ、学びを深め、失敗も含めた経験を積み重ねながら成長していくことが大事です。変化を前向きに捉え、自分自身も組織全体も「常にアップデートできる体」でいることが、利用者にとっても、働く私たち自身にとっても最善の結果につながります。
安定しつつも停滞しない働き方を手に入れ、これからも成長と学びに満ちた福祉の現場を共につくっていきましょう。