「毎日5分」の威力──カララが実践する“こまめな支援の進捗確認”の仕組み
放課後等デイサービス カララでは、朝の全体打ち合わせ終了後に5分間の「支援の進捗確認タイム」を設けています。わずか5分――けれど、この短い時間が私たちの支援の質を底上げし、職員同士の連携を強める大きな原動力になっています。
なぜ「毎日5分」なのか
以前勤めていた事業所では、児童の個別支援計画を振り返る機会が半年に一度、計画更新のタイミングに限られていました。結果、計画を丁寧に読み込み着実に支援を進める人と、日々の忙しさの中で計画を置き去りにしてしまう人とのあいだで支援の質に大きな差が生じる――そんな課題を痛感しました。
だからこそカララでは、**「まとめて振り返る」のではなく「こまめに振り返る」**ことを重視しています。まとまった時間を確保するのが難しい現場でも、1回5分なら捻出しやすく、高い集中力で臨めるのが強みです。
支援の進捗確認の流れ
- メンバー構成
平日の朝、常勤3名が参加。わずか3名だからこそ、全員が主体的に発言できます。 - 担当児童の割り振り
契約児童15名を3名で分担。1日あたり各職員が1名を報告し、3名 × 5日間 = 15名。週に一度、全児童の進捗を必ず確認できる計算です。 - 報告フォーマット
- ①前回決めた目標に対して何を実施したか/できなかったか
- ②理由や気づき
- ③今週取り組む次の一手
3項目を端的にまとめ、タイマーを使い、時間厳守で進めます。タイマーは、4分にセットして、タイマーがなったら1分でまとめ(具体的なアクションプラン)に取り掛かり始めます。
- 全体共有
打ち合わせ直後に社内チャットへ要点を投稿。全職員が同じ情報をリアルタイムで把握でき、参加していない職員もすぐに追いつけます。
5分でも得られる3つの効果
- 支援の「置き去り防止」
小さなつまずきをできる限り持ち越さず、早いタイミングで軌道修正。半年後の更新時に全然できなかったと慌てることがなくなりました。 - 職員間の温度差解消
毎日顔を合わせて支援方針を言語化するため、経験年数や専門性の違いによる支援のばらつきが縮小。自然と相互フォローも生まれます。 - “次にやること”の明確化
5分で決めた行動目標は、その日の現場で即実行可能なサイズ感。結果→振り返り→改善のサイクルが高速で回ります。
実践のコツ
- タイマーで区切る
「まだ進めたい」はできる限り行いません。短時間に集中する習慣がつくと、報告自体がどんどんブラッシュアップされます。 - 記録と共有を“即時”で
作成した進捗をそのまま終わらせず、チャットに共有することで暗黙知を可視化。欠席者への周知漏れも防げます。
おわりに
「忙しいから時間が取れない」のではなく、**“取れる時間で何をするか”**が大切だと私たちは考えます。たった5分でも、毎日積み重ねれば1週間で25分、1か月で約2時間。けっして小さくないこの時間が、児童15名の支援計画を最新の状態に保ち、私たち職員の視点を揃え続けるエンジンになっています。
支援の質を保ちながら現場の負担を増やさない――そのための仕組みづくりに悩む事業所の方へ。まずは“5分”から、始めてみませんか?